平滑筋におけるASH2L欠損は肺血管リモデリングを駆動する
総合: 78.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8
概要
PH患者肺動脈でASH2Lは低下し、重症度と相関しました。ASH2L欠損はKLF5–FBXW7複合体を介したKLF5安定性制御とNOTCH3転写促進により平滑筋増殖と血管リモデリングを促進します。KLF5薬理学的阻害は低酸素SMCモデルでPHを軽減しました。
主要発見
- PH肺血管でSET1/MLL群のうちASH2Lのみが差次的に低下し、肺動脈での低下は重症度と相関しました。
- ASH2L欠損は平滑筋増殖と血管リモデリングを促進し、回復はこれらを改善しました。
- 機序として、ASH2LはKLF5・FBXW7複合体を形成してKLF5分解を促進し、ASH2L欠損下ではKLF5のNOTCH3プロモーターへのリクルートとNOTCH3発現が増強されました。
- KLF5薬理学的阻害は低酸素SMC特異的モデルのPHを軽減しました。
臨床的意義
KLF5阻害やASH2L機能回復は肺高血圧の新規治療戦略となり得ます。ASH2L/KLF5/NOTCH3に基づくバイオマーカーは層別化に有用です。
なぜ重要か
肺血管リモデリングを駆動する薬剤標的可能なエピジェネティック/転写軸(ASH2L–KLF5–NOTCH3)を提示し、ヒト検体から機序モデル、治療介入まで橋渡ししました。
限界
- 臨床応用は未確立であり、KLF5やASH2L標的治療の安全性・有効性は不明。
- 検体数やin vivo効果の定量的詳細は抄録からは読み取れません。
今後の方向性
KLF5/NOTCH3軸阻害薬やASH2Lアクチベーターの前臨床評価と、患者層別化に向けたバイオマーカー開発が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序解明研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - ヒト組織解析と細胞・動物モデルを組み合わせた機序解明研究(エビデンスレベルV)。
- 研究デザイン
- OTHER