敗血症におけるカテプシンKによるアンジオポエチン2切断は有害なTie2拮抗断片を生じる
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 9
概要
炎症によりカテプシンKがアンジオポエチン2を25/50 kDa断片へ切断しTie2拮抗化、敗血症で内皮不安定化を惹起する。オダナカチブによる阻害でマウス生存率は改善し、ヒト敗血症ではANGPT2断片が増加し不良転帰と関連した。
主要発見
- マクロファージ刺激下で内皮細胞から分泌されたANGPT2は75 kDa全長の減少と25/50 kDa C末端断片の出現を示した。
- カテプシンKはANGPT2断片生成に必須かつ十分であり、断片はTie2に結合し拮抗した。
- オダナカチブはマウス敗血症の生存を改善し、この効果は全長ANGPT2に依存し、cANGPT225で相殺された。
- 敗血症患者では循環ANGPT2断片が蓄積し、不良転帰と関連した。
臨床的意義
敗血症におけるTie2シグナル安定化のためカテプシンK阻害(例:オダナカチブ)が候補となる。循環ANGPT2断片はリスク層別化や治療選択の指標となり得る。炎症性ショックに対するANGPT2–Tie2軸標的治療の臨床試験設計に資する。
なぜ重要か
ANGPT2の機能を作動から拮抗へ転換させるプロテアーゼ機序を解明し、カテプシンK阻害の治療可能性を実証した。測定可能なANGPT2断片をバイオマーカーとして提案する点も重要である。
限界
- ヒトデータは観察研究であり、カテプシンK阻害の臨床的有効性は未確立
- 敗血症におけるオダナカチブの安全性・用量は専用試験が必要
今後の方向性
ANGPT2断片モニタリングを伴うカテプシンK阻害薬の前向き臨床試験、断片定量アッセイの実装と患者層別化戦略の開発。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 機序解明と動物実験に加え、ヒト観察コホート解析を含むトランスレーショナル研究
- 研究デザイン
- OTHER