N末端ドメインと受容体結合ドメインを標的とする二重特異性抗体はSARS-CoV-2懸念変異株を強力に中和する
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
NTDとRBDを同時に標的化する二重特異性抗体(CoV2-biRNs)は、XBB.1.5、BA.2.86、JN.1を含むオミクロン変異株全体で強力かつ広範な中和活性を示し、親抗体単剤やカクテルを上回った。予防投与でK18-hACE2マウス肺のXBB.1.5ウイルス量を低減した。
主要発見
- NTD抗体C1596はNTDのsite i外の別エピトープを認識し、広範な結合性を示した。
- NTD–RBD二重特異性抗体(CoV2-biRN5/7)はXBB.1.5、BA.2.86、JN.1に対し強力な中和活性を維持し、親抗体単剤やカクテルより優れた。
- CoV2-biRN5の予防投与は、XBB.1.5曝露K18-hACE2マウスの肺ウイルス量を減少させた。
臨床的意義
VOC逃避に強い二重特異性抗体治療薬の開発を後押しし、次世代のCOVID-19予防・治療戦略の設計に資する。
なぜ重要か
回避性の高いオミクロン系統に対しても力価を維持する抗体設計を、構造学的根拠とin vivo検証で示し、汎用性の高い治療戦略を提示した。
限界
- 二重特異性抗体のヒト臨床での有効性・安全性データが未提示
- 製造の複雑性や免疫原性の課題が未検討
今後の方向性
二重特異性抗体の第1相臨床試験への移行、新規変異株への持続的効果の検証、予防と治療での有用性比較。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- III - 前臨床(構造解析、in vitro中和、マウス有効性)エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER