ヒト鼻上皮の多列線毛細胞におけるDPP4発現の多様性はMERS-CoV嗜好性を規定する
総合: 80.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
ヒト気道オルガノイド由来培養と単細胞解析により、MERS-CoVは鼻腔・肺上皮の多列線毛細胞に感染し線毛消失を生じることが示された。ヒト鼻組織におけるDPP4発現の局在的・可変性がドナー間での複製効率差と関連し、散発的なスーパースプレッディングの機序を示唆する。
主要発見
- MERS-CoVは肺および鼻気道オルガノイド由来培養の双方で高力価に複製した。
- 単一細胞mRNAシーケンスと組織学で、多列線毛細胞への選択的感染と線毛被覆の喪失が示された。
- 複製効率はドナー間で大きく異なり、ヒト鼻組織でのDPP4発現の局在的・可変性と関連した。
臨床的意義
鼻腔DPP4発現や線毛細胞の分化状態の評価が高リスク拡散者の同定に役立つ可能性を示す。上気道を標的としたワクチン・抗ウイルス・バリア対策の重要性を再確認する。
なぜ重要か
上気道の受容体不均一性をコロナウイルスの伝播パターンに機序的に結びつけ、MERSおよび将来の動物由来感染症に対するリスク評価と対策立案に資する。
限界
- in vitroオルガノイドは生体内の粘膜免疫やエアロゾル動態を完全には再現しない可能性
- 各実験のドナー数が抄録では明示されていない
今後の方向性
集団規模の鼻粘膜生検でDPP4の多様性を定量し、鼻DPP4レベルが排出・伝播を予測するか検証する。線毛細胞分化の調節による上気道嗜好性低減の可能性を探る。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎・機序研究
- 研究領域
- 病態生理/予防/診断
- エビデンスレベル
- V - ヒトオルガノイド・組織に基づく前臨床の機序的エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER