ヒト肺気道空気−液体界面培養におけるSARS-CoV-2感染は基底細胞が重要な標的であることを示す
総合: 78.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8
概要
ヒト鼻腔・気管支の空気−液体界面培養を用い、SARS-CoV-2(野生株・アルファ株)は基底細胞を強く感染させ、上皮免疫応答の形成に大きく寄与することが示されました。局所カモスタットメシル酸塩は基底・頂端区画の双方でウイルス量と免疫活性化を低減しました。
主要発見
- 基底細胞は繊毛・分泌細胞と並びSARS-CoV-2(野生株・アルファ株)に強く感染する。
- 基底細胞は提供者依存性に上皮免疫応答へ大きく寄与する。
- 局所カモスタットメシル酸塩は基底・頂端両区画でウイルス量と免疫活性化を低減する。
臨床的意義
上気道初期感染への局所カモスタット評価を後押しし、上皮細胞型特異的な予防・治療戦略の設計に資する知見です。
なぜ重要か
SARS-CoV-2初期感染における基底細胞の重要性を明確化し、実用的な早期介入として鼻腔内セリンプロテアーゼ阻害の前臨床的根拠を提示します。
限界
- in vitro上皮モデルは生体内の免疫・組織動態を完全には再現しない可能性がある。
- カモスタットの治療効果は前臨床段階であり、臨床有効性の検証が必要。
今後の方向性
鼻腔内カモスタットの臨床試験の実施;生体内での基底細胞特異的抗ウイルス経路と繊毛・分泌細胞との相互作用の解明。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 多層オミクスを用いた前臨床ヒト一次細胞モデル研究
- 研究デザイン
- OTHER