メタトランスクリプトーム解析は小児急性副鼻腔炎および上気道感染における病原体と宿主応答シグネチャーを明らかにする
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 9
概要
221例の鼻咽頭検体に対する網羅的RNAシーケンスは、培養/qRT‑PCRと比して高い感度・特異度を示し、未検査の病原体も検出、196のウイルスゲノムを再構築しました。宿主発現シグネチャーは細菌性とウイルス性の鑑別に寄与し、多数の診断バイオマーカー候補を提示しました。
主要発見
- RNA-seqは、3種の副鼻腔炎関連細菌で感度/特異度87%/81%、12種の呼吸器ウイルスで86%/92%と高精度を示した。
- 臨床で未検査の病原体22種を追加検出し、陰性例の58%で妥当な病因を同定。
- 196のウイルスゲノム(新規株を含む)を再構築し、細菌性とウイルス性を識別する宿主応答シグネチャーを定義。
臨床的意義
現時点では日常診療に直結しないものの、メタトランスクリプトーム診断はウイルス・細菌の鑑別を高精度化し、不要な抗菌薬使用の削減に寄与し得ます。宿主応答マーカーは迅速検査への翻訳が期待されます。
なぜ重要か
病原体検出と宿主応答プロファイリングを統合し、大規模に実施した初のデータセットであり、小児URIの細菌性・ウイルス性鑑別に資する実用的バイオマーカー候補を提示しています。
限界
- 単一時点採取で、抗菌薬処方への実地影響や前向き有用性評価が未実施
- コスト・所要時間・解析基盤など、日常導入には障壁が残る
今後の方向性
RNA‑seq結果に基づく抗菌薬決定を検証する実装試験、宿主遺伝子セットの迅速POC検査への翻訳が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- III - 参照検査との比較を伴う観察コホート型の診断精度研究。
- 研究デザイン
- OTHER