急性呼吸窮迫症候群における吸入鎮静:SESARランダム化臨床試験
総合: 81.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
本第3相ランダム化試験(n=687)では、吸入セボフルラン鎮静は静脈内プロポフォールに比べ、28日時点の人工呼吸器離脱日数が少なく、90日生存率も低下しました。7日死亡やICU離脱日数もセボフルランで不良でした。
主要発見
- セボフルランは28日人工呼吸器離脱日数が少ない(差 −2.1日[95%CI −3.6〜−0.7])。
- 90日生存率はセボフルラン47.1%、プロポフォール55.7%(HR 1.31, 95%CI 1.05–1.62)で低下。
- 7日死亡が高く、28日までのICU離脱日数もセボフルランで少なかった。
臨床的意義
中等度〜重度ARDSで深鎮静が必要な場合、研究目的を除き吸入セボフルランではなく静脈内プロポフォールを優先すべきです。施設の鎮静パスを見直し、吸入鎮静使用時は早期死亡リスクに注意します。
なぜ重要か
本高品質RCTはARDSの鎮静選択を直接規定し、吸入セボフルランの潜在的有害性を示す決定的な結果です。ICU診療やガイドラインの変更に直結します。
限界
- 治療担当者への非盲検により実施バイアスの可能性
- フランスICUの機器環境を反映しており、他地域への一般化に注意
今後の方向性
鎮静バンドル(鎮痛先行戦略等)の実装型試験を行い、揮発性麻酔薬がARDSで不利となる機序(肺胞炎症や循環動態)を解明する研究が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 鎮静戦略を直接比較した高品質ランダム化臨床試験のエビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER