セマフォリン3E–Plexin D1軸はErbB2媒介性の線維芽細胞活性化を介して肺線維化を駆動する
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
IPFおよびBLM線維化肺ではSema3E/Plexin D1が過剰発現し、Furinにより生成されるP61‑Sema3EがPlexin D1を介してErbB2リン酸化を誘導し線維芽細胞を活性化する。Sema3E/Plexin D1/Furinの遺伝学的・薬理学的阻害は線維芽細胞活性を低下させ実験的肺線維化を軽減し、創薬可能な標的経路を提示する。
主要発見
- Sema3EとPlexin D1はIPF肺およびBLM線維化マウスで過剰発現し、血漿Sema3Eは肺機能と逆相関した。
- Furinにより生成されるP61‑Sema3EはPlexin D1を介してErbB2リン酸化を促し、線維芽細胞の活性化・増殖・遊走を駆動した。
- Sema3E/Plexin D1ノックダウンやFurin阻害は線維芽細胞活性を低下させ、全肺・線維芽細胞特異的Sema3E欠失はin vivoでBLM誘発線維化から防御した。
臨床的意義
Sema3EのFurin切断阻害、Sema3E–Plexin D1相互作用阻害、または線維芽細胞のErbB2シグナル調節は、IPFの分子標的治療候補となる。
なぜ重要か
ヒト検体・機序解析・in vivoモデルの収束証拠により、線維芽細胞病態を駆動するP61‑Sema3E–Plexin D1–ErbB2軸を同定し、分子標的抗線維化療法の道を開く。
限界
- 本経路標的のヒトでの安全性・有効性は未検証である。
- IPF内の表現型異質性に伴うSema3E/Plexin D1発現のばらつきは、さらなる層別化検討が必要。
今後の方向性
P61‑Sema3E–Plexin D1を標的とする選択的阻害薬・抗体を開発し、抗線維化効果・薬力学・バイオマーカーを前臨床・初期臨床で評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序解明研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - ヒト組織相関と動物モデルを伴う前臨床機序研究。
- 研究デザイン
- OTHER