家庭内大気汚染の世界・地域・各国における負担(1990–2021年):Global Burden of Disease 2021の体系的解析
総合: 83.0革新性: 8インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 9
概要
本GBD解析は、2021年に世界で26.7億人(33.8%)が家庭内大気汚染に曝露されていたと推定し、1990–2021年の204地域で燃料種別の曝露モデルを用いて推計しました。負担は減少傾向ながら、特にサハラ以南アフリカと南アジアで慢性閉塞性肺疾患や下気道感染などへの寄与が大きく、家庭のクリーンエネルギー移行の加速が必要です。
主要発見
- 2021年に世界の26.7億人(33.8%)が家庭内大気汚染に曝露されていた。
- 1990–2021年、204の国・地域で燃料種別の濃度を用いた曝露モデルを更新した。
- 負担は減少傾向でも、HAPは呼吸器・心代謝疾患の重要なリスク因子として残存し、サハラ以南アフリカと南アジアで特に顕著である。
臨床的意義
リスクの高い患者でHAP曝露を問診・評価し、クリーン調理・暖房への転換を助言するとともに、公衆衛生活動と連携してCOPDや下気道感染のリスク低減を図る必要があります。
なぜ重要か
主要な呼吸器リスク因子について方法論を更新した網羅的推計を提供し、政策立案と資源配分の精緻化を可能にするためです。
限界
- モデル推定であり曝露仮定に依存し、国内の不均質性を十分に反映できない可能性
- 多くの地域で直接測定データが乏しく、推定の不確実性が残る
今後の方向性
個人・世帯モニターによる実測曝露データの統合、介入の大規模効果検証、HAP削減と呼吸器アウトカムの縦断的関連づけが求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- II - 多数集団・長期にわたる高品質な体系的解析とモデル推計
- 研究デザイン
- OTHER