H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス感染時のヒト鼻上皮細胞における免疫・生物学的応答:季節性インフルエンザA/Bとの比較
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8
概要
ヒト鼻上皮ALI培養を用い、H5N1は季節性株と比べて抗ウイルス・インフラマソーム応答の低下、創傷治癒・バリア機能の障害、イオン・溶質輸送遺伝子の変化を惹起しました。これらの特徴はHPAIの監視や早期介入に向けたバイオマーカー・治療標的を示唆します。
主要発見
- H5N1は季節性株に比し、ヒト鼻上皮でIFN-βやインフラマソーム関連IL-1α/βの発現を低下させました。
- 創傷治癒・再上皮化・バリア機能を障害し、酸化ストレス応答も減弱しました。
- 膜溶質・イオンキャリア遺伝子の発現が増加し、上皮輸送状態の変化が示唆されました。
臨床的意義
上気道でのI型IFNシグナルや上皮修復を回復させる診断・治療開発の根拠となり、HPAIの拡大と重症化の抑制に資する可能性があります。
なぜ重要か
侵入門戸である鼻上皮におけるH5N1の機序を解明し、診断・治療の標的となり得る脆弱性を示した点で、Disease X候補への対策上重要です。
限界
- 臨床相関のin vivo検証がない培養系研究
- 鼻腔でのH5N1適応性の差が一般化可能性を制限する可能性
今後の方向性
in vivoおよび臨床上気道検体での署名の検証、IFN応答・上皮修復を高める介入の検証、供与者間・年齢/宿主因子の影響評価。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - ヒト一次細胞を用いた制御下in vitro実験とマルチオミクス解析
- 研究デザイン
- OTHER