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機能的肺胞様マクロファージを備えた誘導肺胞アセンブロイドの作製

Nature communications2025-04-09PubMed
総合: 84.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 9

概要

本研究は、多能性幹細胞由来肺胞上皮と誘導マクロファージを組み合わせたヒト誘導肺胞アセンブロイドを確立しました。AT2様細胞によるGM-CSF産生、マクロファージのIL-1β/IL-6分泌やサーファクタント代謝遺伝子発現を再現し、損傷応答、脂質取り込み、細菌および結核菌刺激にも反応するなど、ヒトの呼吸防御を模倣します。

主要発見

  • 多能性幹細胞由来肺胞上皮と誘導マクロファージを統合したヒト誘導肺胞アセンブロイドを構築。
  • AT2様細胞はGM-CSFを産生し、マクロファージの組織適応を支持。
  • マクロファージ様細胞はIL-1β/IL-6を分泌し、サーファクタント代謝関連遺伝子を発現、損傷細胞の除去や酸化脂質の取り込みを示した。
  • 細菌成分や結核菌曝露に対し、人の呼吸免疫を反映した防御応答を呈した。

臨床的意義

前臨床段階ですが、結核などの呼吸器感染症、サーファクタント異常、上皮障害応答に対する標的探索・スクリーニングを加速させ、トランスレーショナル研究の効率化に寄与します。

なぜ重要か

上皮–マクロファージ相互作用と宿主防御を機械論的に解析できる多用途のヒト肺プラットフォームであり、感染や組織障害に対する前臨床評価を可能にします。翻訳的意義が高く、広範な研究利用を促進すると期待されます。

限界

  • in vitro系であり、血管・神経・全身免疫などの完全な構成要素を欠く
  • ドナー間変動や大規模スループット病態モデル化への拡張は今後の検討が必要

今後の方向性

血管や追加の免疫サブセットの組み込み、ウイルス・細菌の重感染や線維化モデルへの応用、前臨床薬剤スクリーニングや個別化医療への展開が期待されます。

研究情報

研究タイプ
症例集積
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 前臨床のin vitroプラットフォーム開発と機能検証
研究デザイン
OTHER