メインコンテンツへスキップ

EGFR変異の有無にかかわる進行非小細胞肺癌に対するサシツズマブ・チルモテカン:第1/2相および第2相試験

Nature medicine2025-04-11PubMed
総合: 86.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 9

概要

2つの前向き試験で、sacituzumab tirumotecanは前治療歴のあるNSCLCに有効性を示し、EGFR変異症例で特に良好(ORR最大55%、PFS最大11.1カ月)であった。安全性は血液毒性が主体で概ね許容可能であり、EGFR変異でADCの細胞内取り込みが高まることが示唆された。

主要発見

  • KL264-01(n=43)で確認ORR 40%、PFS中央値6.2カ月。
  • EGFR変異サブセットでORR 55%、PFS中央値11.1カ月。
  • 独立した第2相(SKB264-II-08、n=64)ではEGFR変異NSCLCでORR 34%、PFS中央値9.3カ月。
  • 主な有害事象は血液毒性で、下痢(4%)と間質性肺疾患(1%)は稀。
  • EGFR変異はin vitroでsac‑TMTの細胞内取り込みと活性を増加させた。

臨床的意義

第3相で確認されれば、EGFR変異NSCLCのTKI後治療として有力候補となる。臨床では血液毒性の管理と稀な間質性肺疾患への注意が必要である。

なぜ重要か

TKI耐性後の治療選択肢が限られるEGFR変異陽性NSCLCに対し有望であり、過去のTROP2‑ADCの失敗後の開発方針を転換し得る臨床的意義が大きい。

限界

  • 無作為化ではなく、現標準治療との比較効果は不明。
  • 症例数は中規模で、長期生存と安全性のデータは今後の追跡が必要。

今後の方向性

進行中のEGFR変異NSCLCにおける無作為化第3相試験の完遂、TROP2発現やEGFR背景などのバイオマーカー・耐性機序の解明、TKIとの逐次・併用戦略の最適化が求められる。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
治療
エビデンスレベル
II - 前向き第1/2相・第2相の単群試験による中等度のエビデンス(無作為化なし)。
研究デザイン
OTHER