メインコンテンツへスキップ

肺胞マクロファージは季節性ヒトコロナウイルスOC43感染を厳密に制御し重症肺炎を回避する

Cell reports2025-04-13PubMed
総合: 84.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 9

概要

季節性コロナウイルスOC43のマウスモデルで、肺胞マクロファージ欠損により好中球浸潤・NET形成・サイトカイン増幅を伴うCOVID-19様重症肺炎が惹起されました。AMφはウイルスを貪食して拡散を抑制し、欠損時にはTLR駆動のケモカインが病態を悪化させることから、コロナウイルス下気道疾患の中核防御因子であることが示されました。

主要発見

  • 肺胞マクロファージ欠損により、本来軽症のHCoV-OC43感染がCOVID-19様の重症肺炎へと転化した。
  • AMφはHCoV-OC43を貪食して感染拡大を抑制し、欠損時にはTLR依存性ケモカインにより好中球浸潤とNET放出が生じた。
  • HCoV-OC43防御には自然免疫センサーや獲得免疫細胞は必須ではなく、AMφが中心的防御因子であることが示された。

臨床的意義

肺胞マクロファージ機能を損なわない治療(不要なマクロファージ毒性薬の回避)、TLRシグナルやNETの標的制御、マクロファージ支持療法はコロナウイルス肺炎の重症化抑制に寄与し得ます。

なぜ重要か

重症コロナウイルス肺炎の回避機構を肺胞マクロファージ中心に再定義し、獲得免疫よりもAM機能の重要性を強調します。AM機能維持・増強やNET病態の制御といった治療戦略に直結します。

限界

  • マウスOC43モデルはヒトSARS-CoV-2病態を完全には再現しない可能性がある。
  • マクロファージ除去法のオフターゲット影響やヒトでの検証が未実施。

今後の方向性

ヒト組織・コホートでAM中心の防御機構を検証し、AM機能増強やTLR/NET経路調節介入を橋渡しモデルで評価する。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - ヒト対象を含まない前臨床動物の機序研究
研究デザイン
OTHER