術中の駆動圧指標による高PEEP対標準低PEEPの比較:術後肺合併症に関する無作為化試験
総合: 78.0革新性: 6インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
開腹手術を受ける高リスク成人1435例において、駆動圧指標の高PEEP+リクルートメントは標準低PEEPと比べ術後肺合併症を減少させなかった。高PEEPは術中低血圧と昇圧薬使用を増やし、低PEEPは一過性の低酸素化が多かった。
主要発見
- 主要転帰(術後肺合併症複合)は高PEEP19.8%対低PEEP17.4%で有意差なし(P=0.23)。
- 高PEEPで術中低血圧(54.0%対45.0%)と昇圧薬使用(32.0%対18.8%)が増加。
- 低PEEP群で術中の低酸素化イベントが多かった(2.8%対0.8%)。
臨床的意義
開腹手術では低一回換気量+低PEEPの標準戦略が妥当であり、駆動圧目標の高PEEP+リクルートメントの常用は有益性の欠如と低血圧増加を踏まえ再考すべきである。
なぜ重要か
高リスク症例における調整高PEEP+リクルートメントの有用性に疑義を呈し、周術期換気プロトコルに直接的示唆を与える決定的多施設RCTである。
限界
- 複合評価は個々の転帰の差を希釈する可能性がある。
- 術中介入は盲検化困難で、腹腔鏡手術への一般化は不明。
今後の方向性
高度肥満や無気肺高リスクなど高PEEPの恩恵を受け得るサブグループの探索と、PEEP以外(リクルートメントのタイミング・モニタリング)の個別最適化の検討が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 患者重要アウトカムを評価した多施設無作為化比較試験。
- 研究デザイン
- OTHER