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中国の小児・青年における野火由来PM2.5と呼吸器感染症(2008–2019):後ろ向き研究

PLoS medicine2025-12-05PubMed
総合: 83.0革新性: 8インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 9

概要

501都市(2008–2019年)で、野火由来PM2.5が5 μg/m3増加すると(ラグ0–28日平均)、呼吸器感染症の発生は6.8%増加し、非野火由来PM2.5の1.2%増加を大きく上回りました。疾患別では季節性インフルエンザ(+28.6%)、風疹(+12.6%)、麻疹(+13.6%)、猩紅熱(+5.2%)の増加が顕著でした。野火由来PM2.5は総PM2.5の2.7%に過ぎないにもかかわらず、PM2.5関連症例の10.8%を占めました。

主要発見

  • 野火PM2.5が5 μg/m3増加すると(ラグ0–28日)、呼吸器感染症の発生は6.8%(95%CI 5.0–8.7%)増加。非野火PM2.5では1.2%(1.0–1.4%)。
  • 疾患別増加:インフルエンザ+28.6%、風疹+12.6%、麻疹+13.6%、猩紅熱+5.2%。
  • 野火PM2.5は総量の2.7%に過ぎないが、PM2.5関連症例の10.8%に寄与。低濃度地域ではその割合が29.7%に達した。

臨床的意義

野火期の公衆衛生対応として、ワクチン接種強化、空気質警報、室内空気清浄、学校・活動の行動指針など感染対策を組み込み、監視モデルに野火PM2.5を統合すべきです。

なぜ重要か

野火由来PM2.5が過大な呼吸器感染症負荷をもたらすことを定量化し、小児・青年における気候と健康の緊急課題を明確に示しました。

限界

  • 都市平均の野火PM2.5を用いたため個人曝露誤分類の可能性。
  • 残余交絡の可能性や、死亡アウトカムは事象数が少なく限定的。

今後の方向性

野火煙指標を感染症予測に統合し、空気清浄・避難・接種時期など介入効果の評価、成人・高齢者における重症度指標での検証が必要。

研究情報

研究タイプ
症例対照研究(時間層別ケースクロスオーバー)
研究領域
予防
エビデンスレベル
II - 同一個体内比較を用いた大規模かつ良好に統制された観察研究。
研究デザイン
OTHER