コロナウイルスの校正エキソリボヌクレアーゼの構造的・触媒的多様性
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
クライオEMと生化学解析により、MERS-CoVのExoNはSARS-CoV-2のExoNより触媒活性が低いことが示された。サルベコ亜属以外で初のExoN構造から、3’端ヌクレオチド切除を規定する保存的決定因子が明らかとなり、コロナウイルスのRNA校正と免疫回避機構の理解が進んだ。
主要発見
- 生化学試験でMERS-CoVのExoNはSARS-CoV-2より顕著に低い触媒活性を示した。
- サルベコ以外で初となるMERS-CoV ExoN–RNA複合体のクライオEM構造により、活性差の分子基盤が明らかになった。
- 3’末端ヌクレオチド切除を担う保存的構造決定因子を同定し、校正・免疫回避機構を説明した。
臨床的意義
ExoNの標的化やExoN切除を回避するヌクレオシド(酸)類の最適化により、広範なコロナウイルスに対する治療持続性の向上が期待できる。
なぜ重要か
突然変異率・ウイルス適応度・抗ウイルス薬耐性を左右する校正機構の構造的原理を示し、ExoN阻害薬や切除耐性ヌクレオシド類の設計合理化に資する。
限界
- 所見はin vitroの構造・生化学系に基づき、適応度への影響のin vivo検証は未実施
- 比較は代表的2種に限定され、さらなる系統の拡張が必要
今後の方向性
ExoN阻害薬や切除耐性アナログを各系統のコロナウイルスで検討し、突然変異率・病原性・耐性へのin vivo影響を評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎・機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 臨床介入を伴わない実験的な構造・生化学研究
- 研究デザイン
- OTHER