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感覚運動皮質および線条体領域内の機能的結合は敗血症により性依存的に調節される

NeuroImage2025-01-04PubMed
総合: 74.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8

概要

多菌性腹腔内敗血症モデルにより、性差依存の神経免疫応答と機能的結合変化が示された。雄は脾拡大・脳グリア増殖が強く、線条体内結合が増強したのに対し、雌ではネットワーク変化が抑制的であった。両群とも腸内細菌叢多様性の低下と7日以内の体重回復を示した。

主要発見

  • 雌雄いずれも敗血症後に生存し、7日以内に体重が回復、腸内細菌叢多様性は低下した。
  • 敗血症後の雄では、雌に比べ脾細胞の増殖と脳内グリア増殖がより顕著であった。
  • 安静時fMRIでは雄で線条体内の結合が増強し、雌では線条体内結合は基底に近く、中心灰白質(PAG)→上丘(SC)および前帯状皮質(ACC)—線条体の投射における変化が抑制的であった。

臨床的意義

前臨床段階ではあるが、敗血症後の神経認知評価・リハビリにおいて生物学的性の考慮が必要であり、とくに男性でのリスク層別化と個別化介入に向けた臨床fMRI研究の実施を後押しする。

なぜ重要か

敗血症が性別により脳ネットワークを異なる様式で再構築することを示し、回復過程や治療介入の最適化に性差を考慮すべきことを示唆する。免疫・腸内細菌叢・fMRIを統合し全身炎症と神経回路を架橋した点が新規性である。

限界

  • 前臨床のマウス研究でありヒトへの外的妥当性に限界がある;群ごとのサンプルサイズは抄録に明記されていない。
  • 機能的結合の変化は行動指標や因果的介入と結び付けて検証されていない。

今後の方向性

安静時fMRIに行動評価と因果的回路操作を組み合わせ、性差の内因性因子(ホルモン、ミクログリア)を解明し、敗血症生存者での縦断的臨床神経画像研究へ橋渡しする。

研究情報

研究タイプ
症例対照研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 敗血症群と対照群を比較した前臨床動物実験研究(安静時fMRI)
研究デザイン
OTHER