組織特異的血漿プロテオーム動態のためのヒトプロテオーム分布アトラス
91.5本研究は、18臓器および主要血球型にわたる血漿タンパク質の臓器由来を結び付ける質量分析アトラスを構築し、RNA/タンパク質リソースと統合しました。本手法は敗血症を含む6つの患者コホートで臓器濃縮タンパク質の変化を検出し、精密診断と病態解明に資する拡張可能な枠組みを提供します。
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本研究は、18臓器および主要血球型にわたる血漿タンパク質の臓器由来を結び付ける質量分析アトラスを構築し、RNA/タンパク質リソースと統合しました。本手法は敗血症を含む6つの患者コホートで臓器濃縮タンパク質の変化を検出し、精密診断と病態解明に資する拡張可能な枠組みを提供します。
本研究は、単一細胞転写、免疫受容体配列、CITE-seq、バルクRNA、プロテオミクスを統合した大規模ヒトコホート解析により、成人と小児の敗血症において感染部位が免疫プログラムを規定し、NR4A2関連シグネチャを含む特徴的な状態を示すことを明らかにした。部位特異的免疫状態と候補バイオマーカーの参照地図を提供する。
炎症によりカテプシンKがANGPT2を25/50 kDa断片へ切断し、Tie2拮抗化を介して敗血症の内皮不安定化を惹起する。カテプシンK阻害(オダナカチブ)はマウス敗血症の生存率を改善し、患者の循環ANGPT2断片は不良転帰と関連した。
発熱正期産乳児では、腸管外感染の63%で侵襲部位病原体と同一の腸内株(>99.999% ANI)が検出され、腸管がリザーバーであることが支持された。E. coli感染例では腸内E. coliの相対量が高く、同一遺伝子型の定着例でB2系統群と毒力因子座の豊富化がみられた。
本研究は、宿主側栄養シグナルである血中ロイシン低値が、Lrp依存的にsRNA NsrPを抑制し、purDを介したプリン生合成を活性化することでNMECの菌血症・髄膜炎を増悪させることを示した。遺伝学的介入で因果性が検証され、静注ロイシンが病態を軽減したことから、予防的・補助療法としての可能性が示唆される。
急性エンドトキシン血症モデルで、生理的範囲の全身性LPSは腸症状を伴わずに通性嫌気性病原菌を100〜10,000倍に急増させました。これはTLR4依存性で、腸管腔内の反応性酸素種上昇により発酵が一過性に停止し、酸化的呼吸を介した病原菌増殖が可能になったことが機序でした。
敗血症患者2コホートでIL-40は入院時に上昇し、PCT、CRP、乳酸/LDH、SOFAと相関して早期死亡の層別化を可能にした。実験的敗血症ではIL-40の抑制/欠損によりNETosisが減少し、多臓器障害が軽減された。IL-40は予後バイオマーカーかつ治療標的となり得る。
腸内細菌叢由来インドールがマクロファージのAhRを活性化して細菌排除と生存を高める一方、病原菌シデロフォアのエンテロバクチンはAhRシグナルを抑制して転帰を悪化させた。トリプトファン補充で生存が回復し、AhRを巡る腸内細菌叢・宿主・病原体の拮抗が示された。
本研究は、マクロファージにおけるTGF-β非依存的なActivin A–Smad3活性化が自然免疫炎症の生理的ブレーキであることを示した。ミトコンドリアATP産生とCD73経路によるアデノシン生成を促進して炎症を抑制し、マクロファージ特異的にActivin Aシグナルを失うとマウス敗血症の生存率が悪化した。
本機序研究は、上皮下周血管マクロファージがUPECを捕捉し、血管完全性を維持し、MMP-13を伴うMETosisで病原体を封じ好中球動員を誘導する「膀胱—血液免疫バリア」を同定しました。単球由来の再補充により再発UTIにも防御が得られ、尿路性敗血症予防の新規戦略が示唆されます。
単一核RNAシーケンスと複数モデルにより、敗血症はERRγ低下を介して収縮型心筋を損傷応答型へと変換し、収縮能と引き換えに細胞保護を得ることが示された。急性期後のERRγアゴニストは収縮型へ再変換させ心機能を改善し、ヒト心での検証もなされた。
ライブセルイメージング、ATAC-seq、in vivo敗血症モデルを用いて、連続する炎症刺激がNF-κBシグナルとクロマチンアクセシビリティの再プログラムにより個々のマクロファージに記憶を刻むことが示されました。ディープラーニングとトランスクリプトミクスにより、転写因子とクロマチンの協調動態が後続刺激への応答を精密に制御することが明らかになりました。
前臨床モデルで、フルオキセチンは末梢セロトニンに依存せず循環IL-10を上昇させ、敗血症誘発性の高トリグリセリド血症や心代謝障害を予防して致死性を低下させた。広く使用されるSSRIのドラッグリポジショニング可能性を持つ免疫代謝防御機構を明確化した。
本機序研究は、NINJ1介在の細胞膜破綻がインフラマソーム活性化から凝固性(組織因子陽性)マイクロベシクル放出へと連なる重要工程であり、凝固障害と炎症を駆動することを示しました。NINJ1半量不全やグリシンによる阻害は、マイクロベシクルとサイトカイン放出を減少させ、フラジェリン誘発の凝固異常と致死性を部分的に防ぎました。
PROGRESS無作為化試験の解析により、PCTに基づく早期抗菌薬中止は標準期間と比べて腸内細菌叢の保持と腸炎症(糞便カルプロテクチン低値)の抑制に寄与した。これにより、PCTガイド戦略で既報の生存・耐性菌抑制効果に機序的裏付けが与えられた。
CLP敗血症ではILC2が増加し、ILC2由来IL-4がSTAT3依存的なLAMP2増強を介して障害されたオートファジー流を回復した。IL-4はLAMP2–FLOT2相互作用を促進し、心内皮細胞でオートファゴソーム‐リソソーム融合を高め、炎症を抑制して心機能を改善した。FLOT2欠失によりこれらの保護効果は消失した。
敗血症患者では可溶性CD72が上昇し、細胞表面CD72は低下した。外因性sCD72はマウス敗血症モデルで用量依存的に生存率を悪化させ、T細胞表面のCD100に結合して細胞内に入り、CD4+T細胞減少を含むT細胞機能を障害しつつ炎症反応を増強した。sCD72は敗血症における適応免疫抑制の機序的媒介因子と位置づけられる。
本研究は、ハプトグロビンの部位特異的フコシル化がC型レクチン受容体Mincleを介して敗血症の炎症を増幅することを示す翻訳研究です。ヒト血漿の糖タンパク解析、単一細胞RNAシーケンス、受容体相互作用実験、マウスでの検証を統合し、フコシル化ハプトグロビンを臨床的に関連するバイオマーカーかつ治療標的候補として位置づけています。
保存的SDRファミリー(CprA/HlyF相同体)が外膜小胞産生を駆動し、オートファジーを阻害・非古典的インフラマソーム活性化を増強してグラム陰性菌の病原性を高める。cprA欠失はマウス敗血症モデルで毒力を低下させ、抗毒力標的としての有望性を示した。
TLR4欠損マウスと単一細胞RNAシーケンスを用い、TLR4欠損マクロファージがAbca1上昇・コレステロール排出促進・解糖抑制・M2極性化を示し、炎症を抑制するとともに肺血管・リンパ管内皮細胞との相互作用を変化させることを示した。内皮TLR4はLPS感受性とマクロファージ由来炎症シグナルへの感受性を規定した。マクロファージと内皮の双方でTLR4が敗血症性ALIの協調的ドライバーであることが示された。
血液・脾臓・リンパ節・骨髄を対象としたscRNA-seqとトランスクリプトーム解析により、敗血症における広範な適応免疫抑制が示された。CD47依存のアミロイドβ産生がB細胞上のCD74に作用して適応免疫応答を抑制する機序が同定され、経路遮断により免疫機能が回復し、臓器障害が軽減し、マウス生存が改善した。臨床データでは、この適応免疫関連遺伝子群が敗血症と通常の感染症を識別し得た。
マクロファージのミトコンドリア複合体III由来スーパーオキシドは、TLR3/4刺激後のIL-10分泌に必須である。複合体III欠損マウスはエンドトキシンショックに高感受性であり、PKA活性化によりIL-10分泌が救済されることから、敗血症耐性に関わる免疫代謝軸が示唆される。
GBP2を搭載したマクロファージ由来EVは、OTUD5への直接結合とGPX4のユビキチン化促進を介して内皮フェロトーシスを誘導し、敗血症性肺血管バリアを破綻させます。Plantainoside DはGBP2に結合してGBP2–OTUD5相互作用を阻害し、GPX4ユビキチン化を低下させ、前臨床モデルで肺障害を軽減しました。
本前臨床研究は、マクロファージBTK活性化が敗血症誘発性血小板減少症における巨核球産生障害に関与することを示しました。BTK阻害薬(BGB-3111)はRap1/NF-κB依存的にマクロファージ極性化を調整し、マウスで巨核球・血小板産生を回復させました。