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LIN28A依存性lncRNA NEAT1はRNAメチル化によるACE2 mRNAの不安定化を介して敗血症誘発性急性呼吸窮迫症候群を増悪させる

Journal of translational medicine2025-01-07PubMed
総合: 81.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8

概要

NEAT1はhnRNPA2B1依存性のRNAメチル化複合体を介してACE2 mRNAを不安定化し、敗血症誘発性ARDSの肺障害を増悪させることが、AT-II細胞およびマウスモデルで示されました。LIN28A–IGF2BP3–hnRNPA2B1軸がNEAT1安定性を相互制御し、複数の介入標的を示唆します。

主要発見

  • NEAT1はACE2を抑制し、in vitroおよびin vivoの敗血症誘発性ARDSモデルで肺障害を増悪させる。
  • NEAT1はLPS処理AT-II細胞でNEAT1/hnRNPA2B1/ACE2 mRNA複合体を形成し、RNAメチル化依存的にACE2 mRNAを不安定化する。
  • LIN28AはNEAT1を安定化させる一方、IGF2BP3はLIN28A–NEAT1の結合を阻害してNEAT1を不安定化し、hnRNPA2B1はNEAT1の安定性を高めて拮抗する。

臨床的意義

前臨床段階ながら、NEAT1や相互作用因子(hnRNPA2B1、LIN28A、IGF2BP3)を標的化することで敗血症誘発性ARDSの肺障害軽減が期待されます。またACE2を標的とする戦略には上流の複雑な制御層が存在することに留意が必要です。

なぜ重要か

NEAT1とACE2制御を結ぶ未解明のエピトランスクリプトーム機序を提示し、lncRNAあるいはRNAメチル化を標的とする治療開発への道を拓きます。

限界

  • LPS誘発モデルはヒト敗血症性ARDSの多様性を十分に再現しない可能性がある
  • 臨床的妥当性の高いモデルでの治療的ノックダウンや拮抗薬による転帰改善の検証が未実施

今後の方向性

ヒト敗血症性ARDS肺組織でNEAT1/hnRNPA2B1–ACE2軸を検証し、NEAT1または相互作用因子を標的とするアンチセンス核酸や低分子阻害薬を臨床的妥当性の高いモデルで評価する。

研究情報

研究タイプ
症例対照研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 細胞・動物モデルによる前臨床機序研究であり、臨床的有効性データではない
研究デザイン
OTHER