盲腸と結腸の腸内細菌叢は致死性と多臓器障害の重症度を異なる方向に規定する
総合: 73.0革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 7
概要
糞便誘発性腹膜炎マウスモデルで、盲腸内容物は結腸内容物より致死的で、生存期間短縮、多臓器障害増大、全身炎症の増強を引き起こした。機序として、盲腸内容物は菌量が多く病原性菌が相対的に豊富で、cGAS-STINGおよびTBK1-NF-κBシグナル活性化が強かった。
主要発見
- 盲腸由来の腸内容物は、結腸由来に比べて生存期間を短縮し多臓器障害を増悪させた。
- 盲腸内容物は菌量が多く、病原性の高い分類群が相対的に豊富な異なる微生物叢を示した。
- 盲腸内容物はcGAS-STINGおよびTBK1-NF-κBシグナルの活性化をより強く惹起し、全身性サイトカイン上昇と肺炎症を伴った。
臨床的意義
穿孔部位(盲腸か結腸か)は早期のリスク層別化、ソースコントロールの緊急度、初期抗菌薬の広さに影響しうる。ただし臨床応用にはヒトでの検証が必要。
なぜ重要か
解剖学的部位に依存した腸内細菌叢が敗血症重症度を規定し、自然免疫経路が介在することを示し、腸管穿孔後のリスク層別化に資する。
限界
- 腹腔内投与の前臨床マウスモデルであり、ヒトの穿孔生理を完全には再現しない可能性
- 抄録では正確なサンプルサイズと検出力計画が明記されていない
今後の方向性
右側・左側穿孔の臨床コホートでの検証と、標的介入可能な微生物分類群や宿主経路(cGAS-STING/TBK1-NF-κB)の解剖学的機能解析が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- IV - 前臨床の比較マウス実験であり、ヒト介入データはない。
- 研究デザイン
- OTHER