敗血症治療のための二重アラーミン受容体特異的標的化ペプチドシステム
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
HMGB1/PTX3相互作用モチーフ由来の二重受容体遮断ペプチド(TMR)は、TLR4/MD2およびRAGEシグナルを抑制し、HMGB1/PTX3やLPSによるサイトカイン放出を低下させました。TMRリポソームは薬物動態を改善し、抗生剤を搭載したTMRリポソームはCLP敗血症モデルで有意な治療効果を示しました。遅発性メディエーターを標的とする補助療法の有望性を示します。
主要発見
- TMRペプチドはHMGB1/PTX3とTLR4およびRAGEの相互作用を阻害し、HMGB1/PTX3やLPSにより誘導されるサイトカイン産生を抑制した。
- リポソーム製剤(TMR-Lipo)によりペプチドの薬物動態が改善した。
- 抗生剤搭載TMR-LipoはCLP誘発マウス敗血症で有意な治療効果を示した。
臨床的意義
ヒトでの安全性・有効性が確認されれば、TMR系補助療法はHMGB1/PTX3–TLR4/RAGE軸の遅発性炎症を抑え、抗菌薬治療を補完して重症敗血症の転帰改善に寄与する可能性があります。
なぜ重要か
初期サイトカイン遮断の失敗を踏まえ、遅発性アラーミンを二重標的化する合理的機序とin vivo有効性を示し、新たな治療概念を提示します。
限界
- 前臨床段階でありヒトの安全性・有効性データがない
- CLPモデルからの一般化やペプチド・リポソームの薬物動態/毒性プロファイルが未確立
今後の方向性
GLP毒性・薬物動態・至適用量検討、大動物での検証、標準治療との併用評価、HMGB1/PTX3濃度に基づくバイオマーカー層別化の探索が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- 前臨床実験研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- V - ヒト臨床アウトカムを伴わないin vitroおよび動物モデルによる前臨床エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER