細菌由来インドール-3-プロピオン酸はメチオニン代謝を標的としてマクロファージのIL-1β産生を抑制する
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8
概要
微生物由来トリプトファン代謝物IPAは、MAT2Aに結合してSAM合成を促進し、USP16のDNAメチル化を介してTLR4のユビキチン化を高め、NF-κBシグナルを抑制する。このエピジェネティック再プログラムによりM1型マクロファージのIL-1β産生が抑制され、マウスLPS敗血症が軽減された。
主要発見
- IPAはNF-κB経路の抑制を介してM1型マクロファージのIL-1β産生を低下させた。
- 機序として、IPAはMAT2Aに結合してSAMを増加させ、USP16のDNAメチル化を促進し、TLR4のユビキチン化を高めてNF-κB活性化を抑制した。
- IPA投与はマウスのLPS誘発敗血症を軽減し、この代謝物–免疫経路のin vivoでの意義を示した。
臨床的意義
腸内細菌由来代謝物やMAT2A/SAM軸の調節により、敗血症でのマクロファージIL-1βと炎症を抑える補助療法の可能性を示唆する。
なぜ重要か
特定の微生物代謝物をメチオニン代謝とTLR4–NF-κBのエピジェネティック制御に結びつけ、敗血症治療標的となりうる経路を提示する。
限界
- LPS誘発モデルに依拠しており、多菌種感染や臨床敗血症の複雑性を十分に反映しない可能性がある
- ヒトでの翻訳的検証と安全性データが未整備である
今後の方向性
多菌種敗血症モデルでのMAT2A標的化やIPA類縁体の評価、SAM/USP16/TLR4軸のトランスレーショナル・バイオマーカー探索を進める。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - in vitroマクロファージ解析とin vivo LPS誘発敗血症モデルによる前臨床機序研究
- 研究デザイン
- OTHER