敗血症性血栓症において血小板活性化のエネルギー再供給を促すリボソーム分解をIRAPが駆動する
総合: 81.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 7
概要
本機序研究は、敗血症性血栓症において活性化血小板内でIRAPがリボファジーを駆動し、得られたアミノ酸を解糖系に供給してエネルギー集約的な活性化を維持することを示しました。IRAP阻害により血小板過剰活性化と敗血症性血栓症が抑制され、免疫血栓症と代謝をつなぐ創薬標的候補としてIRAPが提示されました。
主要発見
- IRAPはmTORC1およびS-アシル化依存的機序により、活性化血小板でリボソームのリソソーム分解(リボファジー)を促進する。
- リボファジーで遊離したアミノ酸は好気性解糖を駆動し、血小板のエネルギー代謝を再プログラム化して活性化を維持する。
- IRAPの薬理学的または標的阻害により、血小板過剰活性化と敗血症性血栓症が軽減される。
臨床的意義
前臨床段階ではあるものの、IRAPを標的とすることで宿主防御を過度に抑制せずに敗血症性免疫血栓症を低減する新たな補助療法となる可能性があります。臨床応用にはトランスレーショナル研究と安全性評価が必要です。
なぜ重要か
血小板における未解明のエネルギー再生経路を明らかにし、敗血症の免疫血栓症を制御しうる治療標的としてIRAPを提示したためです。
限界
- 臨床コホートでの検証がない前臨床研究である。
- オフターゲット作用や代償経路の完全な除外には至っておらず、IRAP阻害の安全性プロファイルも不明。
今後の方向性
ヒト敗血症でのIRAP–リボファジー指標の検証、良好なPK/PDと安全性を有する選択的IRAP阻害薬/抗体の開発、臨床的多様性を反映した敗血症モデルでの有効性評価が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 前臨床の機序研究(細胞・in vivo)であり、ヒトアウトカムデータはなし。
- 研究デザイン
- OTHER