多層オミクスおよびネットワーク解析に基づく敗血症性心筋症に対するドラッグ・リポジショニング
総合: 76.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
UPLC-MS/MSとRNA-seqを統合したネットワーク近接解析により14のFDA承認薬候補を抽出し、アセトアミノフェンとピリドキサールリン酸がLPS誘発SCMマウスでEF/FSを改善し、BNPとcTnIを低下させました。機序として前者はプロスタグランジン合成抑制、後者はアミノ酸バランス回復が示されました。
主要発見
- 多層オミクスのネットワーク近接解析で129薬剤を同定し、ICU適用性と安全性から14薬剤に優先順位付け。
- アセトアミノフェンとピリドキサールリン酸はLPS誘発SCMマウスでEF・FSを改善し、BNP・cTnIを低下。
- 機序として、アセトアミノフェンはプロスタグランジン合成と炎症を抑制し、ピリドキサールリン酸はアミノ酸バランスを回復。
臨床的意義
アセトアミノフェンおよびピリドキサールリン酸の再用途化により敗血症性心筋症の軽減が示唆されますが、前臨床(LPSモデル)であるため導入前に臨床試験が必要です。
なぜ重要か
実装可能なプラットフォームによりICUで入手可能な2薬剤の心保護効果と機序を示し、臨床試験への橋渡しを加速し得るため重要です。
限界
- LPS誘発モデルは多菌種感染やヒトSCMの複雑性を十分に再現しない可能性
- 候補薬の実験は2剤に限られ、ヒトデータや敗血症特異の安全性評価が未実施
今後の方向性
敗血症性心筋症での用量・安全性・有効性を検証する前向き臨床試験と、プラットフォームの多菌種モデルやヒト組織データへの拡張が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- IV - 前臨床の動物・細胞実験による比較研究(ヒトアウトカムなし)。
- 研究デザイン
- OTHER