極端に早期のバソプレッサー開始は成人敗血症性ショックの短期死亡率を低下させない可能性:システマティックレビューとメタアナリシス
総合: 77.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
11研究(6,661例)で、極端に早期の開始による全体としての死亡率低下は示されなかった。一方、診断後1~3時間での開始はサブグループ解析で短期死亡率低下と関連した。定義や手順の異質性が大きく、標準化の必要性が示唆される。
主要発見
- 統合解析では「極端に早い」開始と後期開始で短期死亡率に有意差なし(OR 0.66、95% CI 0.36–1.19、I² 82%)。
- 診断後1~3時間での開始は死亡率低下と関連(OR 0.70、95% CI 0.60–0.82、I² 0%)。
- タイムゼロを診断時点とする解析でも早期開始が有利(OR 0.64、95% CI 0.48–0.85、I² 39%)。
臨床的意義
可能であれば敗血症性ショック診断後1~3時間以内のバソプレッサー開始を検討し、同時に適切な容量評価を行う。「極端に早い」開始の一律な有益性は前提とせず、施設内でタイムゼロの定義とプロトコールの標準化を進めるべきである。
なぜ重要か
ICUで普遍的に直面する敗血症性ショックのバソプレッサー開始時期に関し、利益が見込める具体的時間窓(診断後1~3時間)を提示し、実践的な指針を与える。
限界
- 研究間の異質性が高く、「早期」の定義が一定でない。
- RCTと準実験・観察研究の混在により交絡の影響が残る可能性。
今後の方向性
タイムゼロを統一定義し、開始時間窓(例:1時間以内、1~3時間、3時間超)を直接比較する標準化プロトコールのRCTを実施し、患者中心アウトカムで評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 無作為化試験および準実験研究を含むシステマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究デザイン
- OTHER