現行の抗真菌薬用量は重症患者に十分か?ICUにおける抗真菌薬曝露スクリーニング(SAFE-ICU)国際多施設薬物動態研究の結果
総合: 77.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
30施設・339例の国際前向きPK研究では、治療中の抗真菌薬の目標到達が複数薬剤で不十分(例:ボリコナゾール57.1%、アムホテリシンB41.7%)で、ばらつきが大きい一方、予防では概ね>80%達成でした。治療的薬物モニタリングと用量最適化の必要性が示されました。
主要発見
- 12カ国30施設のICUで339例を対象とした前向き多施設PK研究
- 治療目的ではボリコナゾール57.1%、ポサコナゾール63.2%、ミカファンギン64.1%、アムホテリシンB41.7%と目標到達が低い
- 予防目的では多くの薬剤で>80%の目標到達
- 病原体陽性例のうちMIC情報が26%にとどまり、個別化PK/PD最適化が制限された
臨床的意義
アゾール系を中心にTDMの導入とPKに基づく用量調整を検討し、可能な限りMIC測定を行い、予防と治療で投与戦略を区別することが推奨されます。
なぜ重要か
ICUでの抗真菌薬低曝露は敗血症の転帰不良に直結し得ます。本多施設PK研究は精密投与に向けた実践的エビデンスを提供します。
限界
- 用量標準化や臨床転帰を主要評価項目としない観察的PK研究
- MIC情報が病原体陽性例の26%に限られた
今後の方向性
PK指向投与と標準投与を比較するランダム化または適応型試験、リアルタイムMIC統合、ICU多様表現型に応じた母集団PKモデルの洗練が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- II - 前向き多施設コホートでPK目標到達を評価
- 研究デザイン
- OTHER