メインコンテンツへスキップ

敗血症における宿主防御としてのPDPN高発現マクロファージサブセット誘導の分子制御:ADAPの役割

JCI insight2025-02-04PubMed
総合: 81.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 7

概要

ADAP–BTK–mTOR–STAT3シグナル軸がTLR4誘導性のPDPN発現を駆動し、貪食能の高いM2様PDPN高発現マクロファージを形成して敗血症から宿主を防御することを示した。薬理学的なSTAT3活性化はPDPN高発現集団を拡大し、マウス敗血症の重症度を低減した。

主要発見

  • ADAP欠損マクロファージではTLR4刺激後のPDPN誘導が起こらず、ADAP再導入で回復した。
  • M2様表現型と高い貪食能をもつPDPN高発現腹腔マクロファージは野生型敗血症マウスで形成され、ADAP欠損では形成されず、この集団の遮断は敗血症を悪化させた。
  • BTKによるADAPのY571リン酸化とmTORが収束してSTAT3を活性化し、PDPNプロモーターの転写を促進した。
  • STAT3作動薬はPDPN高発現マクロファージを拡大し、in vivoで敗血症重症度を低減した。

臨床的意義

PDPN高発現マクロファージを増強する免疫調整(例:STAT3作動薬やBTK/mTORの調整)が敗血症治療戦略となる可能性を示す。臨床応用にはヒトでの検証が必要である。

なぜ重要か

敗血症でのマクロファージ機能再プログラミングに関わる新規かつ標的可能な経路を解明し、STAT3作動薬によるin vivo有効性を示した。PDPN高発現マクロファージを単なるマーカーではなく防御エフェクターとして再定義する。

限界

  • ヒトでのPDPN高発現マクロファージの検証がなく、前臨床マウス中心の研究である
  • STAT3作動薬のオフターゲット作用や安全性検討が不十分

今後の方向性

ヒト敗血症でのPDPN高発現マクロファージとADAP–STAT3シグナルの検証、臨床的に実行可能な調節薬(BTK阻害/作動薬、STAT3調節薬)の検討、組織特異的役割の解明。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - in vitroおよびin vivo(動物モデル)による前臨床の機序的エビデンス
研究デザイン
OTHER