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リン酸化シグナルは、アシネトバクターの薬剤耐性と毒力のグローバル制御因子BfmRによるゲノムワイドな転写制御を活性化する

Nucleic acids research2025-02-08PubMed
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 7

概要

本研究は、リン酸化によりBfmRが活性化され、二量体化・ゲノムワイド結合の拡大を通じて、外被形成関連や線毛形成抑制など303遺伝子を直接制御することを示した。リン酸化BfmRは抗菌薬耐性とin vivoでの敗血症発症に必須であり、BfmS-BfmR系は有望な治療標的となり得る。

主要発見

  • BfmRによる遺伝子制御、抗菌薬耐性、in vivoでの敗血症発症にはリン酸化が必須である。
  • リン酸化はBfmRの二量体化と標的DNA親和性を高め、ゲノムワイドの結合部位を拡大する。
  • BfmRはカプセル・ペプチドグリカン・外膜生合成(活性化)や線毛生合成(抑制)など303遺伝子を直接制御する。
  • BfmR認識にはプロモーターに広く分布するダイレクトリピートモチーフが関与し、非コードsRNA群も制御する。

臨床的意義

前臨床段階ではあるが、BfmS-BfmRシグナル軸を薬剤標的として提案し、A. baumanniiの毒力・耐性を低減して敗血症重症度の緩和や抗菌薬効果の向上に資する可能性がある。

なぜ重要か

耐性と毒力を結びつけるリン酸化依存的マスター制御因子を同定し、敗血症におけるin vivoの関連性を示した。具体的なレギュロンとDNAモチーフを提示し、標的介入の足がかりを与える。

限界

  • 前臨床の細菌・マウスモデルはヒト感染の複雑性を完全には再現しない可能性がある
  • BfmS-BfmRを標的とする治療阻害剤の有効性は未検証

今後の方向性

BfmS-BfmRシグナル阻害小分子の創製と評価、臨床分離株・多様な感染モデルでのレギュロンと表現型の検証、BfmRが影響する宿主—病原体相互作用の解明が望まれる。

研究情報

研究タイプ
症例集積
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
IV - 前臨床の機序解明実験であり、臨床的な比較エビデンスではない
研究デザイン
OTHER