内皮GSDMDはLPS誘発性の全身性血管障害と致死性の基盤となる
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
細胞型特異的マウスモデルを用い、エンドトキセミアおよび敗血症における全身性血管障害と致死性は骨髄系ではなく内皮GSDMDによって媒介され、肝細胞GSDMD—HMGB1—RAGE軸が関与することを示した。内皮GSDMDのペプチド阻害により内皮障害が軽減し生存が改善し、内皮GSDMDが有望な治療標的であることが示唆された。
主要発見
- LPSは大動脈および肺微小血管で内皮GSDMDを上昇させる。
- 内皮特異的Gsdmd欠損は、骨髄系欠損と異なり、マウスのエンドトキセミアおよび敗血症モデルで血管障害と死亡を防御する。
- 肝細胞GSDMDはHMGB1放出を駆動し、内皮のRAGEを活性化して全身性血管障害と急性肺障害を引き起こす。
- 内皮GSDMDのポリペプチド阻害は内皮障害を軽減し、生存率を改善する。
臨床的意義
前臨床段階ながら、内皮標的GSDMD阻害薬やHMGB1–RAGE経路調節薬を敗血症性ショック・エンドトキセミアの候補治療として開発する根拠となり、内皮パイロトーシス関連バイオマーカー開発を促す。
なぜ重要か
敗血症致死性の中心機序として内皮パイロトーシス(GSDMD)を特定し、ペプチド阻害による薬理学的介入可能性を生体内で示した点が画期的である。
限界
- 前臨床マウスモデルはヒト敗血症の異質性を完全には再現しない可能性がある。
- ペプチド阻害薬の臨床応用可能性と安全性は未検証である。
今後の方向性
臨床試験に適した薬物動態と安全性を備えた内皮標的GSDMD阻害薬の開発、ヒト敗血症での内皮パイロトーシス関連バイオマーカーの検証、HMGB1–RAGE軸の治療標的としての評価が必要である。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - ヒト対象を含まない前臨床の機序解明研究。
- 研究デザイン
- OTHER