敗血症性低血圧の初期輸液における乳酸リンゲル液か生理食塩水か
総合: 74.0革新性: 6インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
CLOVERS試験の二次解析(n=1,563)では、初期蘇生に乳酸リンゲル液を用いると0.9%生理食塩水に比べ、90日死亡が低く(調整HR 0.71)、28日病院非滞在日数が増加しました。生理食塩水では高クロール血症と重炭酸塩低下がみられました。
主要発見
- 敗血症性低血圧の1,563例で、乳酸リンゲル液は90日死亡率の低下と関連(12.2%対15.9%;調整HR 0.71, 95%CI 0.51–0.99, p=0.043)。
- 乳酸リンゲル液群は28日病院非滞在日数が多かった(調整平均差1.6日;p=0.009)。
- 生理食塩水は高クロール血症と重炭酸塩低下と関連し、代謝性アシドーシス(高クロール性)と整合的。
臨床的意義
敗血症性低血圧の初期輸液には平衡晶質液(例:乳酸リンゲル)を優先し、大量の生理食塩水は代謝異常や死亡リスク示唆を踏まえ回避すべきです。
なぜ重要か
広く直面する治療選択に患者転帰で応え、敗血症性低血圧における平衡晶質液の利点を補強するため重要です。
限界
- 初期輸液の割付は非無作為であり、調整後も交絡の可能性が残る
- 二次解析であり仮説生成的で、米国施設に限定され一般化に注意を要する
今後の方向性
最初期蘇生段階における平衡晶質液と生理食塩水の前向き無作為化比較試験や、クロール負荷と臓器障害の機序研究が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- II - 無作為化試験データの二次解析(無作為化前輸液の調整比較)
- 研究デザイン
- OTHER