カテプシンKによるアンジオポエチン2の切断は敗血症で有害なTie2拮抗断片を生じる
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
炎症によりカテプシンKがANGPT2を25/50 kDa断片へ切断し、Tie2拮抗化を介して敗血症の内皮不安定化を惹起する。カテプシンK阻害(オダナカチブ)はマウス敗血症の生存率を改善し、患者の循環ANGPT2断片は不良転帰と関連した。
主要発見
- カテプシンKは75 kDaの全長ANGPT2を25/50 kDaのC末端断片へ切断し、Tie2拮抗作用を示す。
- カテプシンK阻害薬オダナカチブは複数のマウス敗血症モデルで生存率を改善した。
- 患者ではANGPT2断片が循環中に蓄積し、不良転帰と関連した。
- 全長ANGPT2はカテプシンK阻害下でのみ生存改善を示し、阻害がない場合は死亡率が増加した。
臨床的意義
カテプシンK阻害薬とANGPT2断片測定は、敗血症の予後層別化と内皮安定化治療の標的化に有用となり得る。Tie2経路の治療標的化は文脈依存的戦略として再検討されるべきである。
なぜ重要か
特定のプロテアーゼがANGPT2の機能スイッチを制御することを示し、in vivo生存利益を伴う創薬可能性を提示した点で、敗血症の血管障害に対する標的およびバイオマーカーとして極めて重要である。
限界
- ヒトデータは観察研究であり、ANGPT2断片と転帰の因果関係は未確立。
- カテプシンK阻害の臨床的安全性・有効性は敗血症で未検証である。
今後の方向性
ANGPT2断片の臨床測定法を開発し予後予測能を検証するとともに、内皮表現型に基づく早期フェーズ敗血症試験でカテプシンK/Tie2標的治療を評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 動物実験と観察的ヒトバイオマーカー解析を併用した機序解明のトランスレーショナル研究であり、介入試験は未実施。
- 研究デザイン
- OTHER