ACTH試験は副腎不全の診断に失敗し、敗血症でサイトカイン産生を増強する
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
敗血症マウスでは、ACTH刺激試験が正常なストレス応答を持つ個体を含め多くを副腎不全と誤判定した。さらにACTHは致死的なサイトカイン血症を誘発し死亡率を上げたことから、同試験は敗血症で有害となり得て、過去のステロイド試験の解釈を混乱させた可能性がある。
主要発見
- 敗血症マウスでACTH試験は、正常な副腎ストレス応答がある個体でも多数を副腎不全と判定した。
- ACTH刺激は炎症性サイトカインを致死的水準まで著増させ、死亡率も中等度に上昇させた。
- RAI/CIRCI診断におけるACTH試験の根本的欠陥を示し、過去のグルココルチコイド試験の結果を撹乱した可能性を示唆した。
臨床的意義
敗血症でステロイド投与の指標としてACTH刺激を用いることには慎重であるべきであり、炎症を増幅させない代替バイオマーカーや機能評価法の開発・導入が求められる。
なぜ重要か
敗血症におけるCIRCI診断の長年のツールに異議を唱え、医原性有害事象の可能性を示したことで、グルココルチコイド治療の患者選択戦略の再検討を促す。
限界
- 前臨床の動物データであり、ヒトへの完全な外挿は困難。
- 用量・投与タイミングや生理の違いが直接的な臨床適用を制限する。
今後の方向性
敗血症におけるCIRCIの非侵襲的・非刺激性診断法の開発と検証。ACTHを用いないバイオマーカーによる副腎機能評価の臨床研究。ACTH選別を用いない再解析で真の不全例におけるステロイド有効性を検証する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序解明研究
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- V - 敗血症マウスモデルで診断試験の影響を評価した前臨床実験研究
- 研究デザイン
- OTHER