敗血症入院の発症リスク因子における性差:UK Biobankを用いた前向きコホート研究
総合: 74.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 7
概要
UK Biobankの490,783例で21,468例が新規敗血症入院を発症し、年齢調整リスクは男性で高かった。COPDは最強のリスク因子で女性に過剰リスクを示し、脂質異常症・心筋梗塞・喫煙も女性で相対的に高リスクだった。一方、認知症は男性でリスクが2倍以上であった。
主要発見
- 490,783人中21,468人が新規の敗血症入院を経験した。
- 年齢調整リスクは男性が女性より高かった(40.2 vs 31.2/1万人・年;HR 1.26[95% CI 1.23–1.29])。
- COPDは最も強いリスク因子で、女性における過剰リスクが認められた(RHR 1.23[95% CI 1.10–1.38])。
- 脂質異常症(RHR 1.08[95% CI 1.02–1.16])、心筋梗塞(1.22[1.05–1.41])、喫煙(1.19[1.09–1.29])は女性で相対的に高い過剰リスクを示した。
- 認知症は男性で敗血症入院リスクを2倍以上に高めた(HR 2.21[95% CI 1.37–3.55])。
臨床的意義
臨床では性別に層別化した敗血症リスク評価を導入し、女性ではCOPD・脂質異常症・既往心筋梗塞・喫煙に重点を置き、男性では認知症に伴う高リスクを踏まえて予防と警戒を強化すべきである。
なぜ重要か
大規模前向き解析により敗血症の性特異的リスク勾配を明確化し、精密予防と早期認識に資する。リスク予測や公衆衛生戦略の最適化に直結する実践的エビデンスである。
限界
- 観察研究であり因果推論に限界があり、残余交絡の可能性がある。
- 入院記録に基づく敗血症同定は軽症例の漏れや分類誤りの影響を受け得る。
今後の方向性
多様な集団・年齢層での外部検証、性別特異的な敗血症リスクスコアの開発と検証、喫煙対策やCOPD最適化など修正可能リスクを標的とした介入研究の実施。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- II - 多変量解析を用いた大規模前向きコホート研究
- 研究デザイン
- OTHER