入院患者における普遍的 vs 標的的クロルヘキシジン清拭および鼻腔除菌の比較
総合: 76.0革新性: 7インパクト: 9厳密性: 7引用可能性: 9
概要
クラスター無作為化ABATE試験に基づく意思決定分析では、医療デバイス保有患者に限定した標的的クロルヘキシジン清拭・鼻腔除菌が、支払者・病院双方の観点で広く費用対効果に優れていた。普遍的除菌はHOBを最少化するが、1イベント回避当たりの追加費用が高く、デバイス比率が高い病棟や標的的実施の遵守が難しい環境で選好されうる。
主要発見
- ベースケースでは標準治療が最も非効率・高コストで、標的的除菌が最も低コストであった。
- 普遍的除菌はHOB最少を達成したが、標的的除菌に対する増分費用効果比は支払者$119,700、病院$126,600/イベント回避であった。
- 標的的除菌は広範なシナリオで費用対効果に優れ、普遍的除菌はデバイス保有率が高い病棟や標的的遵守が低い場合に選好されうる。
臨床的意義
一般病棟では標的的除菌を基本戦略とし、高デバイス比率の病棟や標的的実施の遵守が困難な場合に普遍的除菌を検討する。感染予防策を支払意思額の閾値と整合させる。
なぜ重要か
院内発症の血流感染・真菌血症という敗血症予防の要に対し、除菌戦略の費用対効果を定量化して病院政策決定を直に支援する点で重要である。
限界
- 結果は前提条件(遵守、コスト、効果量)や支払意思額の閾値に依存する
- 病棟の症例構成や実装忠実度により一般化可能性が変動しうる
今後の方向性
病棟特性別に標的的 vs 普遍的戦略を前向きに比較し、実臨床での遵守、耐性菌生態、医療公平性のアウトカムを評価する研究が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- III - 大規模クラスター無作為化試験に基づく意思決定モデルであり、新たな無作為割付は伴わない
- 研究デザイン
- OTHER