血中ロイシン低値が新生児髄膜炎起因大腸菌(NMEC)の病原性を増強する
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 9
概要
本研究は、宿主側栄養シグナルである血中ロイシン低値が、Lrp依存的にsRNA NsrPを抑制し、purDを介したプリン生合成を活性化することでNMECの菌血症・髄膜炎を増悪させることを示した。遺伝学的介入で因果性が検証され、静注ロイシンが病態を軽減したことから、予防的・補助療法としての可能性が示唆される。
主要発見
- 血中ロイシン低値はNMECの生存・増殖を促進し、菌血症および髄膜炎を増悪させた(in vivo)。
- ロイシン欠乏はLrp依存的にsRNA NsrPを抑制し、NsrP低下によりpurDが脱抑制されプリン生合成が活性化した。
- NsrP欠失はNMECの菌血症・髄膜炎を増加させ、purD欠失はこれらを減少させた(動物モデル)。
- 静注ロイシンはLrp–NsrP–purD経路を遮断し、NMECの菌血症・髄膜炎を低減した。
臨床的意義
前臨床段階ではあるが、NMEC菌血症・髄膜炎の予防・軽減に向け、ロイシン補充やLrp–sRNA–プリン経路の標的化を検討する根拠となる。新生児での安全性・用量検討が必須である。
なぜ重要か
アミノ酸利用可能性と病原性を結ぶ新規の代謝性sRNA経路を解明し、介入可能な手段(ロイシン投与)を提示した。新生児敗血症・髄膜炎の予防戦略を刷新し得る。
限界
- ヒト臨床での検証がない前臨床(動物・分子)研究である
- 病原体特異的(NMEC)機序であり、他の敗血症起因菌への一般化は不確実
今後の方向性
新生児モデルにおけるロイシンの安全性・薬物動態評価、予防・補助療法の臨床試験、他病原体でも類似の栄養–sRNA–代謝軸が存在するかの検討が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理/予防
- エビデンスレベル
- V - 前臨床の機序研究(動物モデル)であり、ヒト臨床データはない
- 研究デザイン
- OTHER