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アンサリンはメチルグリオキサール誘発性の毛細血管漏出を阻止し、実験的敗血症の死亡率を低下させる

EBioMedicine2025-03-20PubMed
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8

概要

ヒト観察データと機序モデルを統合し、メチルグリオキサールが内皮バリア破綻と早期死亡を惹起すること、ジペプチドのアンサリンがこれを逆転させることを示した。アンサリンはRAGE–MAPK経路を介し結合構造破綻を抑制し、毛細血管漏出と死亡率を低下させた。

主要発見

  • メチルグリオキサールは敗血症発症後48時間以内の死亡増加およびカテコラミン・輸液需要増と独立に関連した。
  • RAGE–MAPKシグナルを介するカルボニルストレスが内皮結合タンパクを破綻させ、毛細血管漏出を生じた。
  • アンサリンはAGE形成を低減し、in vitroで結合構造を保護、in vivoで漏出と死亡率を低下させた。

臨床的意義

メチルグリオキサールは早期リスク層別化に利用可能であり、アンサリンは敗血症性ショックの毛細血管漏出や昇圧薬・輸液需要を減らす補助療法として、早期臨床試験に値する。

なぜ重要か

代謝毒性物質と敗血症の血管漏出を因果的に結び付け、臨床応用可能性の高い捕捉薬(アンサリン)で生存改善を示した点が重要である。

限界

  • 前臨床段階の有効性であり、ヒトでの利益を確認する無作為化試験は未実施。
  • アンサリンの至適用量・投与タイミング・安全性プロファイルは臨床で未確立。

今後の方向性

メチルグリオキサールに基づくリスク層別化の前向き試験、内皮漏出指標を用いたアンサリンの第I/II相試験が望まれる。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 前臨床の機序研究(ヒト観察データによる補強)
研究デザイン
OTHER