臨床データ統合型全国ゲノムサーベイランスにより、菌血症における高リスククローン Staphylococcus aureus ST764-SCCmecII を同定
総合: 77.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 9
概要
臨床転帰を統合した全国ゲノムサーベイランスにより、MRSA ST764-SCCmecIIが日本で30日死亡率の最も高い菌血症クローンであると同定された。1994年頃にNY/Japanクローンから派生し、ファージを介してスーパー抗原毒素や耐性因子を獲得したことが示された。
主要発見
- 2019–2020年の菌血症由来S. aureus 580株の解析で、MRSA ST764-SCCmecIIは入院30日死亡率が最も高かった。
- ST764-SCCmecIIはNY/Japanクローン(ST5-SCCmecII)から派生し、約1994年以降にスーパー抗原毒素ファージと耐性遺伝子を可動性要素で獲得した。
- ゲノムと臨床データ統合により、東西日本でのクローン分布と3主要クローン複合体の重要性が明らかになった。
臨床的意義
高リスクMRSA系統の検出にゲノムサーベイランスの導入を検討すべきであり、ST764-SCCmecIIの認識はMRSA経験的治療、隔離対策、資源配分に資する。
なぜ重要か
病原体ゲノミクスを患者死亡と全国規模で結び付け、リスクに基づく感染対策や経験的治療戦略を可能にする。
限界
- 観察研究であり因果推論に限界、サンプリングバイアスや日本以外への一般化に制約がある。
- 経験的治療変更などの臨床運用の検証は前向きに行われていない。
今後の方向性
高リスクMRSA系統の認識が死亡率や伝播を低減するか、ゲノム情報に基づく前向き抗菌薬適正使用介入で検証する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- III - ゲノムと臨床データを統合した後ろ向き全国コホート研究
- 研究デザイン
- OTHER