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マウスにおける非致死量の全身性LPSは酸素種媒介の腸内細菌叢抑制を通じて腸管腔内病原菌のブームを可能にする

Nature communications2025-03-21PubMed
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 9

概要

急性エンドトキシン血症モデルで、生理的範囲の全身性LPSは腸症状を伴わずに通性嫌気性病原菌を100〜10,000倍に急増させました。これはTLR4依存性で、腸管腔内の反応性酸素種上昇により発酵が一過性に停止し、酸化的呼吸を介した病原菌増殖が可能になったことが機序でした。

主要発見

  • 全身性LPS暴露により、24時間以内に腸管内のK. pneumoniae、E. coli、E. faecium、S. Typhimuriumが100〜10,000倍に増加した。
  • 顕著な腸病変を伴わずに病原菌ブームが生じ、粘膜障害ではなく腸管腔内の生態学的変化が示唆された。
  • 機序:TLR4依存性の腸管腔内反応性酸素種上昇が腸内細菌叢の発酵を一過性に停止させた。
  • 通性嫌気性菌は増加した酸素種により駆動される酸化的呼吸を介して増殖した。
  • 全身性免疫活性化は腸内細菌叢恒常性を一過性に破綻させ、感染リスクを高める可能性が示唆された。

臨床的意義

前臨床ながら、腸管腔内の酸化ストレス緩和やTLR4シグナル調節が、重症患者における腸管病原菌の増殖と二次感染の抑制に有用となり得ることを示唆します。また、酸化還元バランスや発酵を変化させる介入の慎重な適用を支持します。

なぜ重要か

本研究は、全身性エンドトキシン血症と腸内の日和見病原菌増殖を機序的に結び付け、重症疾患で観察される腸内細菌叢変化の説明と新たな宿主標的戦略の可能性を示します。

限界

  • マウスモデルであり、人の敗血症への直接的な一般化には限界がある。
  • 短期間の観察であり、患者での介入的逆転を示す研究は実施されていない。

今後の方向性

重症患者における病原菌ブームと二次感染予防を目的に、抗酸化、TLR4調節、発酵支持介入を用いたトランスレーショナルモデルおよび初期臨床試験を検討する。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 動物実験による前臨床の機序的エビデンスであり、直接的な臨床エビデンスではない。
研究デザイン
OTHER