COVID-19パンデミックが抗菌薬使用に与えた影響:国際患者レベル・コホート研究
総合: 75.5革新性: 7インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8
概要
9カ国の分析で、肺炎・急性呼吸窮迫症候群・敗血症患者における広域抗菌薬使用はパンデミック初期にしばしば増加し、政策や変異株に応じて変動しました。WHOガイド後にインドと韓国でアジスロマイシンが減少する一方、特定の環境ではメロペネム等が増加し、強靭な抗菌薬適正使用の必要性が示されました。
主要発見
- バングラデシュ(OR 1.94–4.07;PDD 1.17–1.58)とトルコ(OR 1.09–1.58)でメロペネム処方が増加。
- イタリアでピペラシリン/タゾバクタムが増加(OR 1.07–1.48)し、DOT(1.01–1.25)とPDD(1.05–1.21)も上昇。
- アジスロマイシンはバングラデシュ(OR 3.36–21.77)とブラジル(OR 2.33–8.42)で増加後、WHO第1版ガイド後にインド・韓国で減少(例:インド −8.38〜−3.49 g/100患者)。
- 中断時系列解析で、デルタ株出現に同期した薬剤特異的な増加が確認(例:バングラデシュでメロペネム +93.40〜126.48 g/100患者)。
臨床的意義
医療機関は、ダッシュボードと迅速フィードバックによる適正使用を強化し、有益性の乏しいマクロライド使用の縮小、呼吸器感染流行時のカルバペネムや抗緑膿菌β-ラクタムの消費監視を行うべきです。
なぜ重要か
多国の患者レベルデータで、ガイダンスや変異株波と連動した抗菌薬使用の変化を定量化し、敗血症診療にも直結する適正使用戦略に資する知見を提供します。
限界
- 観察研究であり、施設間の不均一性や残余交絡が残ること。
- 微生物学的確認や処方適正の情報が一様に得られていないこと。
今後の方向性
処方パターンを患者アウトカムや耐性の推移に結び付け、流行期のICU/COVID病棟で標的化した適正使用介入を検証する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- III - 多国後ろ向き観察コホート(中断時系列解析を含む)
- 研究デザイン
- OTHER