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Annexin A3はアクチン細胞骨格調節を介して敗血症における内皮透過性と炎症を抑制する

Advanced science (Weinheim, Baden-Wurttemberg, Germany)2025-03-28PubMed
総合: 82.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 8

概要

ANXA3欠損マウスとHUVECを用いた研究により、ANXA3の喪失はストレスファイバー形成と接合蛋白の減少を介して内皮透過性を亢進させ、敗血症の転帰を悪化させることが示されました。ANXA3はATF2経路を介してE-セレクチンを抑制し、アクチン重合阻害でバリア障害は可逆的でした。ANXA3は敗血症の内皮恒常性を保護する調節因子と位置づけられます。

主要発見

  • ANXA3欠損は敗血症モデルで死亡率、肺障害、白血球浸潤、血管透過性を増加させました。
  • ANXA3の喪失はアクチン・ストレスファイバーを誘導し、ZO-1・VE-カドヘリン・クラウディン5を減少させ、バリア機能を低下させました。
  • ANXA3低下はATF2リン酸化を介してE-セレクチンを上昇させ単球接着を増加させ、アクチン重合阻害でこれらの効果は逆転しました。

臨床的意義

前臨床段階ながら、ANXA3機能の強化やアクチン動態の調節により、敗血症の血管漏出と炎症を低減する生物学的マーカー・治療標的の可能性を示唆します。

なぜ重要か

敗血症の内皮バリア機能を規定する機序としてANXA3を同定し、in vivo・in vitroで検証しました。治療標的となり得るアクチン動態経路を提示します。

限界

  • 前臨床モデル(LPS/HUVEC)はヒト敗血症の多様性を完全には反映しない可能性があること。
  • サンプルサイズや盲検化・無作為化の詳細が抄録に記載されていないこと。

今後の方向性

臨床コホートでANXA3の予後・治療標的としての有用性を検証し、ANXA3介在の細胞骨格安定化を高める低分子や生物学的製剤を開発する。

研究情報

研究タイプ
症例対照研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 動物・細胞モデルによる前臨床の機序的エビデンス
研究デザイン
OTHER