敗血症の新規バイオマーカーとしてのMETRNL:診断能と分泌機序の探索
総合: 80.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
METRNLは実験的敗血症で1時間以内に急上昇し、ICUの敗血症患者でも有意に高値で、ROC AUCは0.943とプロカルシトニンに匹敵し至適カットオフでより高い特異度を示しました。主な供給源は内皮であり、TLR4–ERK経路により古典的ER–Golgi経路を介して迅速分泌されます。
主要発見
- LPSおよびCLPモデルでMETRNLは用量・時間依存的に上昇し、1時間以内にPCTやCRPに先行して上昇した
- ICUの敗血症患者(n=107)は対照(n=95)よりMETRNLが有意に高く、ROC AUCは0.943でPCT(0.955)に匹敵し、至適カットオフで特異度が高かった
- 内皮特異的Metrnlノックアウトとシグナル解析により、内皮が主な供給源で、TLR4–ERK–ER/Golgi経路が迅速分泌を仲介することが示された
臨床的意義
METRNLはPCT/CRPより早期の敗血症認識に寄与し、内皮障害表現型の同定に資する可能性があり、トリアージやモニタリング、バイオマーカー指向型試験の設計に有用です。
なぜ重要か
早期敗血症診断のギャップに対し、機序が明確な内皮由来の迅速バイオマーカーを提示し、強い診断性能を示しました。
限界
- 単施設のパイロットで症例数は中等度であり、外部検証が必要
- 救急トリアージの前向き運用での診断性能は未評価
今後の方向性
PCT/CRPとの比較を含む前向き多施設診断研究や、内皮型敗血症エンドタイプのマルチマーカーパネルへの統合が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- II - ヒト症例対照コホートと動物・細胞での機序検証を伴う転換的診断研究
- 研究デザイン
- OTHER