ATG16L1は敗血症性肺障害においてマクロファージのNLRP3活性化および肺胞上皮細胞傷害を抑制する
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
遺伝学的・薬理学的手法により、骨髄系ATG16L1がROS–NLRP3–cGAS-STINGの正のフィードバックを抑え、敗血症性肺障害での炎症と肺胞上皮傷害を制御することを示した。ROS除去やSTING阻害により障害は軽減され、ATG16L1過剰発現でも重症度が低下した。
主要発見
- 骨髄系ATG16L1欠損はLPS誘発敗血症性肺障害を増悪させ、炎症反応を亢進させた。
- ATG16L1欠損マクロファージではミトコンドリアROSが蓄積しNLRP3が活性化。上皮細胞からのdsDNA放出がcGAS-STINGを活性化し、NLRP3活性化の正のフィードバックが形成された。
- ミトコンドリアROS除去またはSTING阻害はNLRP3活性化と肺障害を軽減し、ATG16L1過剰発現でも重症度が低下した。
臨床的意義
前臨床段階ではあるが、STINGやNLRP3経路阻害薬、ATG16L1機能増強などマクロファージオートファジーを高める戦略の臨床検証を優先すべきことを示唆する。
なぜ重要か
オートファジー低下が炎症小体およびcGAS-STING活性化へ連なる統合的経路を特定し、敗血症性肺障害の複数の治療介入点を提示した。
限界
- LPS誘発ALIは多菌性のヒト敗血症を完全には再現しない可能性がある。
- ヒト検体での検証や臨床試験データがない。
今後の方向性
多菌性敗血症モデルおよびヒト検体での検証を行い、マクロファージ標的のオートファジー増強やSTING/NLRP3阻害薬の橋渡し研究を進める。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 動物・細胞モデルによる前臨床の機序研究
- 研究デザイン
- OTHER