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宿主AAA-ATPase VCP/p97はユビキチン化された細胞内細菌を溶解し、自然免疫による抗菌防御を担う

Nature microbiology2025-04-12PubMed
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8

概要

本機序研究は、VCP/p97がユビキチン化細菌表面タンパク質を機械的に引き抜き膜溶解を引き起こして殺菌するAAA-ATPaseであることを示し、マウスで致死的敗血症からの防御を実証した。プロテオスタシスと連関する新規自然免疫経路を示し、宿主標的療法への応用可能性を示唆する。

主要発見

  • VCP/p97は細胞質側に露出したユビキチン化細菌(肺炎球菌、サルモネラ、化膿レンサ球菌)に結合し、D2ドメインのATPアーゼ活性を必要として細胞内菌量を低下させる。
  • 光ピンセット、分子動力学計算、in vitro再構成により、p97が肺炎球菌表面のユビキチン化タンパク質(BgaA, PspA)を引き抜き、膜溶解を誘導することが示された。
  • マウスではp97が肺炎球菌の増殖を抑制し、致死的敗血症から防御することが示され、プロテオスタシスに連関した宿主抗菌防御機構が明らかになった。

臨床的意義

前臨床段階ではあるが、p97活性の増強やそのタンパク質引き抜き機構の模倣は、細胞内病原体に対する宿主標的補助療法の創出や抗菌薬依存の低減につながる可能性がある。

なぜ重要か

致死的敗血症から宿主を守る新規の細胞内細菌クリアランス機構を解明し、宿主標的型抗菌療法の道を開くからである。

限界

  • 前臨床研究であり、ヒトでの有効性・安全性は未検証である
  • 細菌表面タンパク質のユビキチン化への依存性は病原体や宿主の状況により変動しうる

今後の方向性

p97活性をin vivoで調節する薬理・遺伝学的戦略の確立、各病原体でのユビキチン化基質マッピング、感染モデルおよび初期臨床試験での宿主標的補助療法の評価が必要である。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序解明研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - in vitroおよび動物モデルによる前臨床の機序的エビデンス
研究デザイン
OTHER