敗血症性ショックの転帰における人種格差:全国解析(2016–2020年)
総合: 73.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
米国入院データ2,789,890例(2016–2020年)では、敗血症性ショックにおいて黒人、ヒスパニック、アジア/太平洋諸島系、先住民で白人より院内死亡と合併症が高く、緩和ケア相談の利用は少なかった。ケアと転帰における構造的な不平等が示唆される。
主要発見
- 2,789,890例の敗血症性ショック入院で、黒人は白人より死亡オッズが高かった(aOR 1.23, 95% CI 1.21–1.25)。
- 黒人は侵襲的人工呼吸(aOR 1.42)と血液透析(aOR 1.96)のオッズが最も高かった。
- 先住民は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のオッズが最も高く(aOR 2.03)、アジア/太平洋諸島系は輸血のオッズが高かった(aOR 1.52)。
- アジア系、黒人、ヒスパニックでは、白人に比べ緩和ケア相談の実施が少なかった。
臨床的意義
医療機関は公平性を重視した敗血症診療パスを導入し、マイノリティ患者への迅速な治療・緩和ケアアクセスを担保し、人種/民族別のアウトカム監視で格差縮小を図るべきである。
なぜ重要か
最新の大規模全国解析により、敗血症性ショックの人種格差が定量化され、医療政策と公平性重視の介入設計に資する。
限界
- 診療報酬データに基づくため、コーディング誤分類や残余交絡の可能性
- 疾患重症度や介入タイミングなどの臨床情報が限定的
今後の方向性
重症度調整のため行政データと臨床レジストリの連結を進め、人種格差の縮小や緩和ケア利用促進に向けた標的介入の効果を評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- III - 全国入院データベースを用いた後ろ向きコホート解析(多変量調整あり)。
- 研究デザイン
- OTHER