ICUにおけるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の腸管定着は腸内微生物叢を形作る
総合: 74.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 7
概要
広域抗菌薬投与中の敗血症ICU患者90例で、VRE定着はICU14日目にピークとなり、腸球菌の優勢化とアルファ多様性の低下を伴い、30日目には一部回復した。これらの動態は、標的化した除菌や微生物叢温存介入の適切な時期を示唆する。
主要発見
- VRE陽性率はICU入室時20%から14日目33%へ上昇し、その後30日目に31%へやや低下した。
- VRE陽性はアルファ多様性低下(Shannon中央値1.90対2.64; P<.01)と腸球菌相対存在量の上昇(中央値38%対0.01%; P<.01)と関連した。
- 腸球菌優占化とアルファ多様性はICU30日目までに概ね基線に回復した。
臨床的意義
ICU14日目前後がVRE定着と微生物叢破綻のピークであることを示し、除菌、抗菌薬スチュワードシップの調整、微生物叢支持戦略の適用機会を示唆する。
なぜ重要か
培養と16S解析を組み合わせた時間分解的データにより、ICUでのVRE定着と腸内ディスバイオシスの関連を明示し、介入の設計とタイミングに示唆を与える。
限界
- 単施設内科系ICUの中等度サンプルサイズ(N=90)
- 16S解析は分類学的解像度と機能推定に限界がある
今後の方向性
定着ピークに合わせた除菌、スチュワードシップ調整、微生物叢回復介入を検証し、機能的理解のためショットガンメタゲノミクスやメタボロミクスを統合する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理/予防
- エビデンスレベル
- II - 計画的サンプリングと解析を伴う良質な前向きコホート研究。
- 研究デザイン
- OTHER