敗血症関連急性腎障害における乳酸とラクトイル化:MIMIC-IVによる臨床証拠と機序的示唆
総合: 80.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
ICU敗血症11,431例で、入室時乳酸高値とクリアランス低下はSA-AKI、CRRT使用、死亡の独立予測因子であり、約5.7 mmol/L以上でリスクが非線形に上昇しました。CLPマウスでは腎特異的なタンパク質ラクトイル化が増加し、乳酸代謝と腎脆弱性の機序的関連が示唆されました。
主要発見
- 乳酸高値は11,431例の敗血症でSA-AKI、CRRT、28日死亡の独立した上昇と関連。
- 制限立方スプラインで約5.7 mmol/Lを境にリスクが非線形に急増。
- CLPマウスで腎特異的なタンパク質ラクトイル化の上昇を確認し、腎障害への機序的関与を示唆。
臨床的意義
入室時乳酸と乳酸クリアランスをSA-AKIリスク評価や腎保護介入の早期判断に組み込み、将来的にはラクトイル化関連経路のモニタリング・標的化を検討する余地があります。
なぜ重要か
大規模ヒトデータと機序的マウス実験を橋渡しし、乳酸を単なる灌流指標からラクトイル化を介するシグナル分子へと位置付け直しました。実臨床で用い得る閾値と動的指標(乳酸クリアランス)も提示します。
限界
- 後ろ向き観察研究で残余交絡の可能性があり、敗血症定義は電子カルテに依存
- ラクトイル化の機序はマウスでの検証にとどまり、ヒト腎組織での直接検証が未実施
今後の方向性
ヒト腎組織・尿でのラクトイル化シグネチャの検証、乳酸/ラクトイル化修飾介入の試験、乳酸動態を取り入れたSA-AKI予測ツールの開発が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- III - 後ろ向きICUコホート解析に機序的動物実験を補完した設計
- 研究デザイン
- OTHER