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ARDSおよび敗血症の炎症表現型の縦断的マルチオミクス署名は死亡率に関連する経路を同定する

The Journal of clinical investigation2025-12-02PubMed
総合: 84.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8

概要

炎症表現型で層別化したARDS 160例の血漿メタボロミクスと全血トランスクリプトームを統合し、死亡率と関連する4つの分子署名を同定した。これらはミトコンドリア機能障害に収束し、Day2でも持続、独立した重症敗血症コホートで検証された。表現型特異的・非特異的経路が明らかとなり、精密治療に資する可能性がある。

主要発見

  • 死亡率に関連する4つの分子署名(自然免疫活性化+解糖亢進、肝機能・免疫機能障害+脂肪酸β酸化低下、インターフェロン抑制+ミトコンドリア呼吸変化、レドックス障害+細胞増殖経路)を同定した。
  • これらの署名はDay0からDay2まで持続し、独立した重症敗血症コホート(EARLI)で検証された。
  • 表現型内解析で死亡関連経路が相違し、ミトコンドリア機能障害を中心に表現型特異的・非特異的な生物学が示された。

臨床的意義

エンドタイプに基づくリスク層別化を支持し、ミトコンドリア代謝、脂肪酸β酸化、インターフェロンシグナル、レドックス経路を治療標的として優先付けする。早期予後判定のための縦断的バイオマーカーパネルの構築にも資する。

なぜ重要か

検証済みマルチオミクスにより、臨床的炎症表現型を死亡関連の機序的経路(ミトコンドリア機能障害を中心)に結び付け、敗血症/ARDSにおけるエンドタイプ駆動型介入に直結するからである。

限界

  • 試験バイオサンプルの二次解析であり、症例数が中等度(n=160)のため一般化可能性に制限がある。
  • 因果推論には限界があり、治療標的の介入的検証が必要。

今後の方向性

署名に基づくリスクモデルの前向き多施設検証と、エンドタイプ富化集団を対象としたミトコンドリア代謝、脂肪酸酸化、インターフェロン/レドックス経路を標的とする介入試験。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
III - 試験由来患者の観察コホート解析で外部検証あり。介入の無作為化は行われていない。
研究デザイン
OTHER