敗血症患者における抗凝固療法の有効性と安全性:ランダム化比較試験のメタアナリシス
総合: 76.5革新性: 6インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 8
概要
18本のRCT(8,053例)を統合すると、抗凝固療法は28/30日全死亡を低下(RR 0.92)させる一方で、出血を増加(RR 1.32)させました。基礎DICを有する敗血症ではDIC寛解は改善しましたが、死亡低下は有意ではありませんでした。
主要発見
- 抗凝固療法は28/30日死亡を低下(RR 0.92, 95%CI 0.86–0.98)させました。
- 基礎DIC群ではDIC寛解が有意に改善(RR 1.62, 95%CI 1.32–2.00)した一方、死亡低下は非有意(RR 0.87, 95%CI 0.62–1.22)でした。
- 出血合併症は抗凝固療法で増加(RR 1.32, 95%CI 1.16–1.49)しました。
臨床的意義
選択された敗血症患者では、出血リスク評価と厳密なモニタリングの下で抗凝固療法を検討し得ます。DIC特異的戦略では寛解促進を重視しつつ、死亡への影響が不確実である点を踏まえる必要があります。
なぜ重要か
敗血症における抗凝固療法の是非に対し、高水準のエビデンスで生存利益と出血リスクのトレードオフ、DICでの効果を定量化し、ガイドライン検討に資する点が重要です。
限界
- 抗凝固薬の種類・用量や敗血症定義が試験間で異なり、出血判定にもばらつきの可能性があります。
- 個別患者データがなく、厳密な層別化や相互作用解析の精度に限界があります。
今後の方向性
個別患者データメタ解析やバイオマーカー選択RCTにより、出血を最小化しつつ利益が期待できる患者群を特定し、アウトカム定義と抗凝固プロトコルの標準化を進めるべきです。
研究情報
- 研究タイプ
- メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - ランダム化比較試験の系統的レビューとメタアナリシス
- 研究デザイン
- OTHER