DYNLL2-PAK1軸の標的化はカスパーゼ11依存性パイロトーシスを抑制し敗血症を軽減する
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
DYNLL2は敗血症重症化と単球拡大のドライバーであり、PAK1と協調してOMV取り込み、細胞質LPS放出、カスパーゼ11/GSDMD媒介パイロトーシスを促進しました。Oroxylin Aによる相互作用阻害は細胞質LPSを低下させ、パイロトーシスを抑制し、マウス内毒素血症で生存率と臓器障害を改善しました。
主要発見
- DYNLL2発現は敗血症で上昇し、予後不良と単球拡大に関連。
- DYNLL2はPAK1と相互作用し、OMVエンドサイトーシスを促進して細胞質LPSとカスパーゼ11/GSDMD活性化を増強。
- DYNLL2またはPAK1の欠損は、殺菌能を維持しつつOMV取り込みと下流のパイロトーシスを抑制。
- Oroxylin AはDYNLL2–PAK1相互作用を阻害し、細胞質LPSを低下、生存率向上と臓器障害軽減をマウス内毒素血症で示した。
臨床的意義
前臨床段階ながら、DYNLL2–PAK1標的化は、カスパーゼ11依存性パイロトーシスと全身炎症を抑制しつつ殺菌能を損なわない補助的治療となる可能性があります。
なぜ重要か
細胞質LPS認識とパイロトーシスを制御する創薬可能な免疫代謝軸を示し、低分子阻害薬の治療候補を提示しています。
限界
- 主たるin vivo証拠が多菌種性敗血症(例:CLP)ではなく内毒素血症モデルである。
- Oroxylin Aのヒト介入による有効性・安全性検証がない。
今後の方向性
CLPや細菌敗血症モデルでDYNLL2–PAK1軸を検証し、Oroxylin Aの薬物動態・毒性を明確化、パイロトーシス薬力学バイオマーカーを用いた初期臨床試験へ展開する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 細胞およびマウスモデルでの前臨床機序研究
- 研究デザイン
- OTHER