敗血症成人患者におけるエスモロール対ランジオロールの死亡率比較:システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシス
総合: 81.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
10件のRCT(1,035例)の統合解析では、エスモロールは標準治療と比べて28日死亡率(RR 0.69、95%CI 0.56–0.85)と心拍数を低下させました。一方、ランジオロールは標準治療と比べノルエピネフリン使用量を増やし、エスモロールとの比較では28日死亡率が高い関連(RR 1.57、95%CI 1.08–2.30)を示しました。エスモロールの効果の確実性は中等度、ランジオロール比較は低いと評価されました。
主要発見
- エスモロールは標準治療と比べ28日死亡率を低下(RR 0.69、95%CI 0.56–0.85:確実性中等度)。
- エスモロールは24時間の心拍数を低下(MD −16.92拍/分、95%CI −23.49〜−10.36:確実性中等度)。
- ランジオロールは標準治療と比べノルエピネフリン使用量を増加(MD 0.09 μg/kg/分、95%CI 0.01–0.18:確実性中等度)。
- ランジオロールはエスモロールと比べ28日死亡率が高い関連(RR 1.57、95%CI 1.08–2.30:確実性低)。
臨床的意義
心拍数管理を要する敗血症患者では、エスモロールを第一選択として検討し、循環動態とカテコラミン必要量を厳密に監視すべきです。ランジオロールの有益性は確実性が低いため、高品質データが得られるまで安易な適用は避けるべきです。
なぜ重要か
敗血症における短時間作用型β遮断薬の比較有効性を提示し、エスモロールの生存利益とランジオロールの昇圧薬必要量増加を示す重要なエビデンスです。
限界
- ランジオロールに関する比較の確実性が低く、用量戦略の不均一性がある可能性。
- エスモロール対ランジオロールの直接比較試験が限られている。
今後の方向性
用量調整プロトコルを標準化し患者志向アウトカムを設定したエスモロール対ランジオロールの直接比較RCTの実施と、昇圧薬必要量の差を説明する機序研究が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 無作為化比較試験を統合したネットワークメタアナリシス
- 研究デザイン
- OTHER